自分の子が不登校になってしまった、将来どうなるんだろう?不登校への対応はどうしたらいいんだろう?そのようなお悩みを抱えている方いらっしゃいませんか?私も身内が不登校でしたので、同じ思いを抱えていました。今回は、そのお悩みの助けになれば、という内容を書かせていただきました。この記事を読めば、
- 不登校対応の基本的な考え方、環境の調整について意識できるようになる
- 本人の心のエネルギーに着目した支援方法について理解できる
- 学校が行う不登校対応について具体的に知ることができる
- 不登校の出口戦略について考え、学校とこじれやすい現状の打破に繋げることができる
といったメリットがあるかと思います。
不登校対応の基本的な考え方として、環境の調整を考える

不登校は、本人に合わない学校環境が重なっため、子どもが自分の心と体を守るためにとった適応行動と考えます。ですので、基本はアセスメント→構造的環境調整→人的環境調整→本人への支援という4つのステップに沿って進めていくことになります。ですので、家庭、学校、医療、第三者機関が連携して解決にあたることが必要です。
不登校支援でのアセスメントについて
不登校にはさまざまな原因があります。その原因について、綿密なアセスメントをもとに考えていきましょう。また、不登校をきっかけに病院を受診した内の約6割がASDの診断を受け、約2割が不安障害の診断を受けているという指摘もあります。発達障害、不安障害の可能性も鑑みて、フォーマルアセスメントやインフォーマルアセスメントなど、多角的なアセスメントが必要となります。
フォーマルアセスメントには、いわゆる発達検査などが含まれる
標準化された検査ツールを使った分析です。知的発達段階を調べる知能検査(WISCなど)や、発達段階を図る発達検査があります。
インフォーマルアセスメントは、いわゆる「記録」が中心
学校、家庭での学習の様子を記録する「行動観察」や、行動とその前後を合わせた「原因ー行動ー結果」の3つを記録して分析する、ABA(応用行動分析)というものがあります。ABA(応用行動分析)=Applied Behavior Analysisの略)とは、人間の行動を科学的、法則的に研究した学問のことです。この学問の中の行動観察法、ABC分析というのが問題行動の対応にあたってとても効果があり、かなり以前から、私の知る限り数十年以上前から教育現場で注目されています。
不登校支援の環境調整は、「構造的」と「人的」の2つ
アセスメントの結果をもとに適切な環境を考えていきます。
不登校支援での構造的環境の調整
構造的環境の調整とは、教室の配置、感覚刺激への配慮、サポート道具の使用等、物理的な環境を変えることです。例として、以下のような対応が考えられます。
- 大人数に耐えられない→クールダウンスペースの用意
- 騒音に耐えられない→イヤーマフの使用
- 学校のルールが理解できない→合理的配慮で例外を認めてもらう
不登校支援での人的環境の調整
人的環境の調整とは、その子の実態を周囲の人がどれだけ理解しているかに応じて、家族、親族、学校の先生、クラスメイト等の周囲の人の理解をすすめることです。特に、先生との関係については注意が必要です。「令和2年度 不登校児童生徒の実態調査(文科省)」より、学校に行きづらくなったきっかけの約3割が先生のこととあります。他にも回答は多岐に渡りますが、不登校において、先生との関係を調整する必要のあるケースが少なくないということが分かります。調整の仕方としては、以下のような対応が考えられます。
- 先生が生徒の性格、特性を理解していない場合
- 先生と保護者で面談。性格、特性を伝えて配慮を依頼。
- 先生に配慮を拒否された場合
- 管理職(校長、副校長)に連絡。先生、保護者、管理職で面談。
- 学校全体で配慮を拒否された場合
- 教育委員会、医療機関との連携をする。外部の支援機関の利用も検討。
先ほど紹介した調査において、「友達のこと」が不登校のきっかけになったケースも3割弱あります。ですので、友達との人間関係について注意することが必要になります。また、発達障害の子どもがいじめられる確率は、定型発達の子に比べて有意に高くなっている、という調査結果もあります。発達障害の子どもの不登校については、より一層いじめの有無やその対応が必要となります。いじめが考えられるケースでの環境の調整には、以下のようなことが考えられます。
- 座席の調整
- 加害側、被害側の監視体制の強化
- 加害側の出席停止措置の検討
- いじめアンケートの実施
- 学級編成の配慮
- 授業、学級経営の研修を実施
不登校の本人への支援にあたっては、心のエネルギーに着目する

不登校は、自分に合わない環境から距離をとった結果なので、誤学習ではなく、心と体を守る適応行動です。それを踏まえた支援が必要となります。また、本人の心のエネルギーの枯渇に着目した研究では、不登校には「前駆期、混乱期、休養期、回復期、助走期、復帰期」という段階が考えられています。それを踏まえて支援を考えていくのが良いかと思います。
前駆期
登校の行きしぶりや心身の不調が現れる期間です。この期間では、子ども自身の悩みを察知することが重要です。また、この前段階では少しの後押しで問題を乗り越えられる子も多いです。保護者の方から少し登校をうながしても、問題はありません。
混乱期
ある日突然部屋にこもる、登校できなくなるこの不登校直後の状態が混乱期です。この期間は子どものエネルギーがなくなり、心身ともに厳しい状態が予想されます。以下のようの症状が現れることがあります。
- 布団から出てこない
- 玄関で動けなくなる
- 家を出ても戻ってきてしまう
- 昇降口から教室まで行けない
- すぐに涙目になるなど、不安定な様子が見られる
子どもの「登校したくない」を受け入れて、一定期間の休養をうながす対応が必要となります。具体的には
- 子どもがゆったりできるように見守る
- 一緒に過ごす時間をつくる
- 学校に行かないことを責めずに話を聞いてあげる
- 疲れている様子があったら無理させずに休ませる
という対応が考えられるかと思います。また、不登校対応については学校と連携して対応することが必須です。以下のように対応するのが良いでしょう。
- 休む連絡を学校に入れ、その際に家での様子も伝える
- 学校に行く機会があれば、担任、養護教諭などに状況説明、相談をする
- 必要があればスクールカウンセラーの予約を入れる
休養期
混乱期の期間は人によって変わりますが、家族が受け入れて関われば、徐々に気持ちが落ち着いてきます。この回復期間を休養期と呼びます。この期間は、ストレスを減らし、何気ない会話を繰り返すなどして、心のエネルギーを貯めることが大切になります。以下のような対応が考えられます。
- 焦らずに落ち着いて子どもと接する
- 登校を無理に促さない
- 受け止める気持ちで話を聞く
- 長期化して親が不安になった場合はスクールカウンセラーなどに話を聞いてもらう
ただし、この期間では生活習慣の乱れに注意が必要となります。ある程度維持されているなら問題ないので、度の過ぎた生活習慣の乱れに注意しながら、寛容な心で見守っていきましょう。学校との連携においては、以下の点に注意しましょう。
- 時々電話で担任に子どもの様子を伝える
- 再登校に備えて、学校との繋がりは切れないようにする
- 子どもの気持ちを尊重しつつ、もしできたら担任と話す機会をもつ(電話も可)
回復期
休養期を経て、だんだん外への意識が見られるようになっていきます。この時期を回復期と呼びます。この期間では、外に出ることに慣れることが、再登校までの慣らし運転になります。できるだけ、子どもの意欲に沿って外出の経験を積んでもらいましょう。以下のような対応が考えられます。
- 担任から聞いた学校の様子を子どもにも伝える
- 行事の情報等を教えてあげる
- 「午前中だけ登校してみる?」などの話し合いをする
- 登校の促しは、子どもの気持ち第一で、スモールステップで行う
学校との連携は以下のように行うと良いでしょう。
- 担任に、元気が戻ってきた様子を伝える
- 再登校しやすいよう、環境の整備を学校に依頼、相談する
助走期
心のエネルギーが回復してもとの状態に近ついてきた時期を助走期と呼びます。この時期には、再登校を目指す、あるいは別の場所に通う、という選択肢を考えることになります。再登校をうながす場合は
- 生徒指導は行われているか
- 合理的配慮は可能か
- クラス編成を考慮して、再登校可能なクラスメイトや担任が設定されているか
といった環境調整前提で考えましょう。また、いきなり元通りは大変なので、スモールステップを心がけましょう。
復帰期
スモールステップで学校に通えるようになってきている、もしくは違う場所に通学できている、こういった状態であれば、将来のビジョン、具体的な進路、就労について考えていくことになります。これを復帰期と言います。復帰期での進路選択においては、子どもが夜間タイプなのか、学習困難なのか、医療との連携が必要なのかといったことを考える必要があります。長い目で見た学校選択や、医療との連携を考えていきましょう。
不登校対応を学校はどう行うのか

現在行われている主な不登校対応方法
①担任の
支援
②養護教諭、生徒指導主事、
特別支援教育コーディネーター
と連携
③スクールカウンセラー等の他職種の専門家、
外部組織との連携
この①から③への流れが主な不登校支援の流れです。それぞれの段階での支援について、管理職(副校長、校長)の指示を確認して動いていきます。ただし、以下の理由で学校としてリーダーシップの取りにくさを感じながらの動きになります。
- 学校は家庭の中に入り込む権限はない
- 家庭訪問に割ける時間は限定的
- 学校教育はどうしても教育の場が学校中心に作られており、家庭への支援が想定されていない
- 学校が連携できる外部機関も、「要請があれば動く」というスタンスなので、保護者の発信が必要
不登校対応での学校の理想的な動き
大事なのは初期対応です。認知行動療法の観点から見ると、「学校を休み始めて3、4日」で体の変容が起きると考えられています。ですので、この期間を踏まえて早急な対応をする必要があります。
学校の理想的な初期対応(最初の3日間)
学級担任にこだわらず、学校内における「良い関係のスタッフ」がすぐにコンタクトを取るようにします。また、できれば3日目には家庭訪問ができると良いでしょう。注意点としては、何度も紹介していますが、文科省の調査においては、不登校児童生徒が「最初に行きづらいと感じ始めたきっかけ」として、全体の3割近くが「先生のこと」をあげています。ですので、担任がコンタクトを取るべき、という従来の意識を学校側は取り払うべきなのです。
不登校の理想的な初期対応(1ヶ月程度の不登校)
家庭での理想的な支援についてはこちらの記事でお話をしてきました。今回は、学校側の支援に着目してお話ししていきます。まずは、早い時期で「教育相談部会」を行い、作戦会議を行うということです。学校の不登校対応において、まず基本になるのが担任の動き、次に教育相談部会ですが、この教育相談部会をできるだけ早い時期に行うことが重要になります。できるならば、これを2週間に1回程度、内容もただの情報交換会ではなく、収集した情報に基づいた作戦会議になるように意識して行います。その際、会議に保護者も様々な形を検討しつつ参加してもらえると良いでしょう。
学校はプチ登校の提案をする
子どもが1週間以上の不登校にいなった時点で、「プチ不登校」を提案するのも良いでしょう。
- 週に1回休みながら通う
- 午後から通う
といった部分登校のプランを一緒に本人と話し合います。「行くか行かないか」ではなく、「無理なく行ける範囲で行こう」という現実的な提案が必要です。認知行動療法の行動活性化の考え方においては、動けない体になっていくことを防ぐことが重要です。無理なくできることを探す作戦会議をします。
家庭訪問では以下のような対応が理想的
家庭訪問の際には以下のような提案をすると良いでしょう。
- 登校は行けるところまででOK。校門でも、近くのコンビニでも。
- 準備もなくていい。忘れ物があってもOK。服装も自由。
- 学校に着けば、教室まで行かなくても登校したことにする。
などなど。再登校について、強引に引っ張るのではなく、「軽く心をゆすってみる」程度にすることが大事かと思われます。
学校の初期対応において注意点としては、「学校なんかに行かなくてもいい」と早い段階で決め打ちするのも良くないですが、まだ元気そうだからと言って無理に登校を促すこともよくありません。初期対応では、その子自身の気持ちを「そのまま受け止める」ことが大切になります。
不登校の中期対応(数ヶ月不登校が続いた場合)
ここでの対応はとても難しさがあります。専門家の意見も分かれるほどです。個人的には、ベースとしては6つの段階の中でどの段階に今子どもがいるかを見極め、それに応じた対応をする、ということが重要かと思います。次にもし可能であれば、認知行動療法の行動活性化の考え方がと入り入れられると良いでしょう。行動活性化の考え方においては、「体が動けない体に変容することを防ぐ」ということが主題になります。ですので、子どもの発言、状態に慎重に対応しながら、可能ならば外出行動を少しでも増やし、生活リズムの乱れも防いでいくことが大事です。
スモールステップで登校を促す
子どもの状態を見極めながら、可能なようであれば登校を促します。ただし、あくまでもスモールステップです。「行事なら参加できる」という子には、まず行事に出席できるように促しましょう。そういったきっかけができたなら、そこから週何回かの別室登校など、少しずつ生活空間を学校に近づけ、広げていけると良いです。
不登校が長期化した時の対応
学校は不登校が長期化すればするほど、主体的に行える支援が難しくなっていきます。ですが、「行事予定表だけは渡す」これは行った方が良いです。行事予定表を家庭に渡すだけなら本人へのプレッシャーにはなりません。一方、行事予定を渡すことすらしなくなると、「もう先生はうちの子は学校に来ないと思っている…」と想像し、絶望的な気持ちになってしまいます。他にも「万が一子どもが勇気を出して学校に行ったとして、(行事予定表がないと)行ってみたら校外学習、なんてこともある。そんなことになったら2度と学校に行ってくれなくなる」と思われることおあるでしょう。長期化し、学校が支援に苦慮していても、行事予定表を渡すくらいのことは必ず継続するべきです。
学校復帰よりも「人間関係復帰」を目指す
行動活性化の考え方でいくと、不登校が長期化している場合は「登校行動」よりもまず「社会的活動」や「人との交流」の活性化を目指します。活動の範囲が家庭の、より狭い範囲になってしまうことを防ぎ、家の外に出れるような体を持続できることを狙うのです。ですので、学校としては保護者と連携し、学校以外の、適応指導教室や習い事といった人と接することのできる場に子どもが顔を出せるように支援をしていく必要があります。
チーム学校として対応する
「チーム学校」について、現場は勘違いしていることが多いです。「チーム学校」=「複数で対応すること」と思っている教員が多いのですが、「チーム学校」には厳密な定義があります。生徒指導提要において、以下のように定義されています。
学校内のスタッフ =「事務職員、指導教諭、教諭、養護教諭、SC(スクールカウンセラー)、SSW(スクールソーシャルワーカー)」
スタッフの指揮系統=「校長、副校長、教頭、事務長、主幹教諭」
ここで勘違いされがちなのが、SC、SSWが学校内のスタッフではなく、学校外の連携すべき関係者として考えられてしまうことです。SC、SSWも学校内のスタッフなので、積極的に会議にも参加してもらい、より密に連携して不登校対応を行うべきなのです。特にその両者は心理、福祉の専門家です。不登校になってしまった子どもを心理的に支えたり、外部機関と繋いだりする際に大変大きな力になります。現状よりも積極的な連携をすべきです。
不登校対応については学校と保護者でこじれやすい

私の教員経験を振り返ると、不登校対応について学校と保護者でこじれたケースも少なくありません。振り返ると、そのケースの共通点は本人、保護者、学校が別々の方向を向いている、ということです。登校を目指すのか、そうでない道を選ぶのか、そうでないならどういう道なのかこの辺りの意識が3者で揃っていない場合に、不登校の問題がずるずると長引いていたと思います。こういった現実には、以下のような背景があります。
子どもと学校は向いている方向が違う
まず、大前提として、子どもと学校は向く方向が逆になりがちです。子ども→学校へ行きたくない、学校 →学校へ行かせたい、当たり前ですがこの構図になります。そして、この両者はこの方向をなかなか変えづらい性質があります。ですので、状況が複雑になりやすいです。
不登校対応においては、保護者の負担割合が大きい
上の構図の中、では保護者の立ち位置はどうなるでしょうか?ここが一番大変で、唯一向く方向を選択しやすい立場になりますが、一方、両者のバランサーであり、向く方向の決定者にもなりがちなのが、保護者です。ですので、最も負担が大きい立場と言っても過言ではないかと思われます。
一方で、これはぶっちゃけた話ですが、元教員の立場から言わせてもらうと、不登校問題については学校はリーダーシップを発揮しづらい立場になります。
- 学校は家庭の中に入り込む権限はない
- 家庭訪問に割ける時間は限定的
- 学校教育はどうしても教育の場が学校中心に作られており、家庭への支援が想定されていない
- 学校が連携できる外部機関も、「要請があれば動く」というスタンスなので、保護者の発信が必要
といった理由から、学校の役割としては以下のような対応が中心となってしまいます。
- 本人の個性に応じて、登校しやすい環境調整をしておく
- 本人が登校しやすいよう、人的調整をしておく
不登校対応においては情報共有、意思の疎通がとても大事
子どもへのアセスメントを綿密に行い、本人との意思疎通や、アセスメントの情報共有を行うことがとても大事かと思われます。この場合はインフォーマルアセスメントが中心になるかと思います。検査ツールを使うのではなく、状況をなるべく客観的に記録する、という手法です。これにより、日常生活や学習面、メンタルについて記録をし、それを元に、子どもの困り感や今後の適性について考えていくというのも良いでしょう。一方、不登校の子どもにとって、話をするということも一つ負担になるかもしれません。子どもの状況を見て、なるべく回復期、もしくは前駆期に行うのが良いかもしれません。
不登校の出口戦略についても共有しておく
不登校のその先、いわば出口にどういう選択肢があってどれを選ぶのか。これについて3者でイメージを共有していると、あとはそこに向かっていくだけなので、行動に不安もなくなり、こじれることもほとんどなくなるかと思います。そして私が最も重要だと思うのが、学校に行かないという選択肢も、一つ持てるようにしておく、ということです。
違う学校という選択肢を考える
今の学校以外を選択する、というケースもあるかと思います。民間のフリースクールなど、様々なケースがあるかと思いますが、ここでは義務教育終了後、中学校卒業段階での選択肢について紹介していきたいと思います。
通信制高校への転校
通信制高校とは、学校教育法で高校として認められた学校です。卒業することで、高卒と同じ資格を得られます。特徴は以下です。
- 毎日通学しなくて良い
- 時間割等がないため、自分のペースで学習できる
- 課題、レポート、試験もオンラインで行える
- スクーリング(学校に行って学ぶ)という制度もある
- 通学できる学校もある
定時制高校への転校
一般的なのは夜間定時制(17時台からの4時間)ですが、昼間定時制の学校もあります。特徴は以下です。
- 基本的には仕事をしつつ学びたい人が対象(アルバイトも可)。
- 学年制の場合は4年間、単位制の場合は3年間での卒業も可能。
- 卒業すると高卒の資格を取れる。
- 学校数が少ないので注意。
高等学校卒業程度認定試験を受験する
高等学校卒業程度認定試験、いわゆる高卒認定試験(旧大検)を受ける、という選択肢もあります。これは以下のようなものです。
- 合格すれば、「高卒と同等以上の学力がある」と認められる。
- 大学受験資格や保育士等の国家試験の受験資格を得られる。
- 就職においても高卒と同様に扱われることが多い。
- 試験科目は国、数、外国語が必修で合計8〜10科目(選択科目で変わる)。
- 試験は8月と11月の年2回。
ここまで紹介した学校以外に、高等専修学校や高等専門学校という選択肢もあります。民間の学校となりますので、先ほど紹介した学校に比べて学費が高額になる、という点に注意が必要です。また、取れる資格も高等専修学校は準学士、高等専門学校は高卒と違ってくる点も注意です。
高校や大学に進学、卒業せず、働くという選択肢についても考える
個人的にはここを1番知っていただきたい、と思っています。もし学校に復帰できず、働いて生計を立てていく、そういう選択肢になっても経済的な心配は意外とないんです。まず現在、日本の労働環境は売り手市場です。こちらのサイトにも書いてあるように、企業が採用したい人数に対して、就職したいという人数が追いついていないという状態なんです。ですので求職者側に有利な状況と言えます。売り手市場なのは大卒者だけではありません。少し前の記事ではありますが、こちらの記事にもあるように、高卒者に至ってはさらに売り手市場であるということなんです。中卒者についてはどうでしょうか。中学で不登校となり、そのまま中卒という肩書きになるケースもあります。私の身内がそうでした。では、その場合どうなるかというと、就職活動はかなり厳しくなります。採用もパート、契約社員がほとんどとなり、日給制だったりと、不安的な雇用が多いです。一方、中卒で比較的早く働き出す、ということに優位性もあるんです。それは、早く手元にお金を貯められる、という点です。まず、当たり前ですが、中卒であれば高卒に対して3年、大卒に対して7年早く働き始めることができます。つまり、具体的に言うと、
(例)アルバイトで時給1000円だった場合
1000×8時間(1日)=8000円、8000×22日(約1ヶ月の労働日数)=176000、176000×12(年)=2112000円、2112000×7(大卒との差)=14784000
厳密に手取りで計算すると、大卒と、その間中卒で働いていた場合のお金の差はおそらく1170万円くらい。なんなら学費が浮く分、こちらのサイトにあるようにさらに大体4、500万円の差が出るので、1600万から1700万円差が出るということになります。
中卒であれば、即一人暮らしというケースは少なく、おそらく実家暮らしでしょう。であれば、家賃等もかからないのでこの大半を貯金することができ、月に1万円程度お小遣いにしたとしても、手元に約1000万円ほどのお金を残すことも可能になります。早い段階で手元にお金があれば、それを運用していく、という選択肢も出てきます。
早々に社会に出ている優位性を発揮できる、株式投資
お金の運用にオススメなのは、株式投資です。株式投資と聞くと、不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。ですが、よくよく考えてみると、投資は誰しもが利用しているものなんです。みなさんはお金を銀行に預ける、保険代として支払う、いずれかはしていらっしゃると思います。では、その銀行や保険会社は何をして利益を得ているのか。両者とも、債権や株式投資をして利益を出しているのです。つまり、結局のところ投資を他人に任せてそのおこぼれをほんの少しもらうか自分で投資をしてしっかり利益をもらうのかその違いだけなんです。ちなみに、株式投資といった場合に最も安全かつ効率的な選択肢になるのが米国株の株式投資です。米国株の株式投資には以下の特徴があります。
- 歴史上、米国株右肩上がりを続けている
- データ上、20年以上正しく投資して損になる確率はほぼない
詳細はまた後日お話ししたいと思いますが、こういった面から、米国株式投資でお金を運用し、早々に社会に出ていることによる優位性を発揮する、ということをオススメします。
中卒者がお金の運用をした場合、いくらになるか
では、一番経済的に不安かと思われる、中卒で実家、アルバイト暮らしという設定でシミュレーションしてみましょう。株式のシミュレーションはこちらのサイトで行いました。先ほどお伝えした通り、この条件だと大卒者と同じ22歳時点で約1000万円の資金が手元にあることになります。以下の条件で計算してみましょう。
- 1000万円で老後資金をつくる
- 運用期間は22歳〜60歳の38年間
- 追加での投資は全くしない、ほったらかしの運用とする
- 利率(お金の増え方)はアメリカの平均的な利率、年利9%とする
結果は…2億6000万円…!!!こんなに入りませんね…!ではもう少し現実的な金額になるようにしましょう。
- 1000万円はいざという時の予備費とし、毎月1万円だけ投資にまわす
- 運用期間、方法、年利は例1と同じ
結果は…3530万円…!!十分なお金ですね。つまり、このような選択を取れれば将来に関してのお金の不安はほとんどないというわけなんです。
まとめ
不登校の対応としては、再登校に向けて環境の配慮をしていくというのがベースにあり、そのために綿密にアセスメントを進め、子どもの心のエネルギーに着目しながら支援していく、というのが基本になるかと思います。ですが、その中で保護者の負担が高まり、学校と保護者でこじれるケースも少なくありません。そのこじれを解決するためにも、不登校の出口戦略として、再登校、転校、退学して働く、どのケースでも、少なくとも経済的には問題がないという事実を共有しておくのが良いです。ぜひ、不登校という現象に慌てず、じっくり本人に寄り添って多方面から支援できるようになれば、と心より願っております。また、不登校対応の中で心が辛くなるケースもあるかと思います。その際にはこちらの記事にてセルフケアについてお話ししていますので、ぜひ参考にしていただきたいです。
今日もお読みいただき、ありがとうございました。
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