「子どものことについて、学校とうまく意思疎通ができない…」「担任の先生と合わないんだけど、どうしたら良いか…」こういったお悩みの方、いらっしゃいますでしょうか?こういったケースについては様々な解決法があります。今回は、そのいくつかの例をお話ししたいと思います。この記事を読めば、
- 学校以外に頼れる外部期間について知ることができる
- 学校内で、担任以外に頼れる存在がいることについて理解できる
といったメリットがあります。
不登校対応などで、担任が頼りづらいケースは少なくはない

「令和2年度 不登校児童生徒の実態調査(文科省)」より、学校に行きづらくなったきっかけの約3割が先生のこととあります。他にも回答は多岐に渡りますが、不登校において、先生との関係を調整する必要のあるケースが少なくないということが分かります。また、本来、不登校対応について学校が行う役割は多岐に渡ります。少し古いですが、学校の不登校対応について文科省がまとめている資料がこちらです。これによると、学校は「学校内外のコーディネーター的な担当を設置すべき」となっています。ですが、以前驚くべきケースに出会ったのですが、X上にて教師を名乗るアカウントとやり取りをした際、「不登校対応は学校の仕事ではない」とはっきり述べたのです。そしてこのような考えを表明するアカウントはどうやら少なくないようで…。このように、学校側の認識不足で学校を頼れず、不登校児への支援がうまく行かない、というケースは結構あるようです。では、こういった状況に対してどのように対応をすれば良いでしょうか。まずは、以下のような対応が考えられます。
- 先生が生徒の個性、特性を理解していない場合
- 先生と保護者で面談。配慮してほしいことを伝える。
- 先生に配慮を拒否された場合
- 管理職(校長、副校長)に連絡。先生、保護者、管理職で面談。
- 学校全体で配慮を拒否された場合
- 教育委員会、医療機関との連携をする。外部の支援機関の利用も検討。
※合理的配慮の否定は障害者の差別にあたるのでしっかり主張してOKです。また、個の発達段階に応じた支援の必要性については学習指導要領にも記載されているので、これを断る権利は学校側にはありません。
学校以外に頼れる機関は次の4つがある

学校以外に頼れる機関は、福祉、教育の面で異なります。一般的な家庭が学校以外に頼れる外部機関となると、以下の4つが考えられます。
- 自治体が開設する教育センター
- 教育相談所、教育研究所などと、名称が変わる場合もあります。(検索すると、「総合教育センター」が上位に来ることがありますが、これは別物!)相談内容としては、不登校以外にも、子どもに関することであれば何でも相談できると考えて問題ないです。
- 利用方法は、電話で事前に予約し、当日相談に行く対面相談と電話で相談できる電話相談の2種類。
- センターでの活動内容は対象の年齢に応じて変わっていきます。
- 小学校の低、中学年は遊戯療法が中心。この年代ではカウンセリングは対応として適当でないため、言葉の代わりに遊びを通して、自分の気持ちを表現してもらいます。50〜60分程度、相談員と子どもが1対1で遊びながら、ありのままの自分を表現してもらい、心の健康を取り戻してもらいます。小学校高学年や中高生はカウンセリングを行います。
- 教育支援センター(適応指導教室)
- 相談事業の他に、不登校の小中学生の居場所の提供も行う場所です。教育支援センターへの出席は、学校の登校日数にカウントされることもあります。利用の相談を学校にすることになると思いますので、その際に確認しておくと良いでしょう。
- 利用にあたってはいくつかの条件があります。「利用が適切だと所属の学校長や教育委員会で判断される」などです。自治体によって異なりますので、確認した上で検討してください。また、定員及び入室審査があります。基本的には、まず学校に相談することが必要になってきます。
- 活動は、学習支援、集団活動、スポーツ活動、体験活動などが行われます。学習支援では、教室によって様々ですが、学校のワークやプリントなど、子どものペースで進めることができます。スポーツ活動では、同じ教育支援センターに通う子どもたちと、球技などをして交流します。体験活動では、園芸などで野菜を育てて収穫したりします。
- 教育支援センターのない自治体もありますので、確認が必要です。また、出席日数に含まれないケースもあるので、この点も同様です。さらに、対象が小、中学生に絞られているので、高校生の不登校対応にあたっては別の場所を検討しなくてはなりません。
- (発達について心配がある場合)発達障害者支援センター
- 発達障害を持つ人への支援を総合的に行う専門機関です。名称は「発達相談支援センター」「心の総合支援センター」など様々ですが、基本的に全国の自治体に設置されています。相談については無料ですが、療育等のサービスを利用しようとする場合、教材費などが実費になるケースもありますので、事前の確認が必要です。
- その他(児童相談所、不登校の親の会、など)
- これらに関しては専門の外部機関、という話からは少しズレるかもしれません。児童相談所は原則、18歳未満の子どもに関する相談に乗ってくれますが、専門的には虐待等の重篤なケースの対応が中心となっている可能性があり、対応が難しいケースもあります。また、不登校の親の会については外部機関、というよりは親の集まりの場です。ですが、同じ悩みを持つ者同士、お互いの悩みを聞いたり、情報交換ができたりと、有意義な経験ができる可能性があります。全国で当事者が運営しているので、「お住まいの地域名、不登校親の会」で検索してみてください。
スクールカウンセラーを頼るという選択肢もある

スクールカウンセラーとは、職業の名前であって資格等の名前ではありません。スクールカウンセラーとして働ける人は、以下の要件を満たす人です。
- 公認心理士
- 臨床心理士
- 精神科医
- 心理専門の大学の教授、講師等
- その他、都道府県等が1から5と同等と認めた者
どれもが専門の大学、大学院等を卒業するなど、かなりの専門的知識を有しないと取得できない資格を持った、まさに心理学のエキスパート達です。
スクールカウンセラーの業務内容は多岐にわたる
スクールカウンセラーの業務内容は多岐に渡ります。実は、現場の教師もあまり知らないことです。というか、現場の教師はスクールカウンセラーのことをあまり知りません。知っているのは、カウンセラーと現場を繋ぐキーパーソンである養護教諭くらいでしょう。業務内容は以下の通りです(「教育相談の充実<報告>」の「SCガイドライン」より)。
- 児童生徒へのカウンセリング
- 保護者への助言、援助
- 児童生徒集団、学級や学校集団に対するアセスメントと助言、援助
- 児童生徒の困難、ストレスへの対処方法、児童生徒への心の教育に資する全ての児童生徒を対象とした心理教育プログラム等の実施
- 不登校、いじめや暴力行為等問題行動、子どもの貧困、虐待等を学校として認知した場合、自然災害、突発的な事件、事後が発生した際の援助
2のように、保護者とつながることについても立派な業務の範囲内なんです。また、3、4のように教員側へアプローチすることも業務の範疇です。
学校内で、相談や予約方法の周知を行う
スクールカウンセラーを利用する、予約の仕方、相談の仕方等について、児童生徒に伝える必要があります。これがまず、どこのスクールカウンセラーもやっている、基本の活動です。
相談室の外でも様々な活動ができる
スクールカウンセラーはカウンセリング用の相談室を校内に設けます。ですが、いつでもそこにこもっているわけではありません。以下のような様々な活動ができます。
- 電話等での対応
- 基本的なカウンセリングのスタンスとしては対面が好まれます。ですが、登校が難しく、遠隔であれば話せる、という児童生徒もいます。こういった場合については電話を使ったカウンセリングが行われます。これは保護者への助言、援助の場合も同様です。来校が難しい、なかなか都合がつけられない保護者に対しては児童生徒同様に電話を使ってのコミュニケーションを行うことがあります。
- 家庭訪問
- 注意として、これについては自治体によって対応が異なり、家庭訪問ができないという規定がある自治体もあります。ですが、教員に同伴する形でならOK、あるいはスクールカウンセラー自体が家庭訪問することを可能としている自治体もあります。ですので、電話対応では物足りない、でも登校は難しい、というケースに関しても対応が可能な場合があるのです。
- メールやSNSでのカウンセリング
- 対面も苦手、電話も苦手な生徒が自分のペースで、自分の調子が良い時を選んでじっくりコミュニケーションをとることができる手法です。便利な反面、24時間、365日対応が可能になってしまうがゆえ、対応に齟齬が生まれる可能性があるので注意が必要です。スクールカウンセラーの対応が遅れた際に、「自分が嫌われた」「見捨てられた」と感じ、より不安定な状態を作ってしまう可能性もあります。
- オンラインでのカウンセリング
- Zoomやマイクロソフトteamsなどを使ったオンラインでのカウンセリングも可能です(学校のIT環境にもよりますが)。欧米ではコロナ禍で注目され、拡大してきている手法であり、日本でも、改善の必要がある点もありつつ、拡大を期待されている手法です。
スクールカウンセラーは「チーム学校」の一人で、先生と同様の立ち位置
まず学校の運営については現在、中央教育審議会により、「チームとしての学校が求められている」とされ、学校を組織を1つのチームとして考え、運営していくことになっています。学校を1つのチームとして考え、家庭、関係機関と関係しあい、連携、協議を行っていくというものです。ちなみにチームの構成としては学校内のスタッフとして「事務職員」「「指導教諭」「教諭(担任等)」「養護教諭」「スクールカウンセラー」「スクールソーシャルワーカー」があり、その上の指示系統、管理系統として「校長」「副校長」「教頭」「事務長」「主幹教諭」がある、という考え方です。つまり、スクールカウンセラーは担任らと同様、学校内のスタッフとして同列に位置付けられている、ということなのです。子どもの最善の利益のために中立的な立場をとります(教員側だけのための立場を取らない)が、学校外の専門家、という立場ではないのです。
スクールカウンセラー運用の課題「現場の認知度が低い」
最大の課題は、「現場がスクールカウンセラーについてよく知らない」ということです。おそらく、私が勤めていたどの学校でも、今回書いた記事の内容を知る先生はほぼいないでしょう。それくらい、教員の中でスクールカウンセラーの認知度は低いのです。今だに「学校外の専門家」という位置付けをしている人がほとんどです(歴史的には過去はそういう立場であった事実はありますので、単純に先生の意識がアップグレードされていない、ということなのです)。さらに、過去、学校外の専門家という立場から、学校と関係性を作るのに尽力し、ようやくスクールカウンセラーが学校現場のチームの一員となった、という流れがありますので、スクールカウンセラー側もずけずけと学校内に無遠慮に立ち入っていくのは憚られるという事情もあります。こういった背景から、せっかくのスクールカウンセラーという人材が活用しきれていない、という現実があるのです。
「そもそもハズレの先生が多い」ということはない

先生を志す、と言う時点で基本的にかなり真面目で誠実な人がほとんどです。しかも学歴もある程度下限があるので、能力やその人の資質に問題を感じることはほとんどありません。逆に、その真面目さ、勤勉さに驚くような人が多いです。ただ「イメージがハズレる」ということはあります。全員が良い先生、ということはありませんし、ただ、もちろん全員が良い先生、ということはありません。特に、先生の実態が「保護者のイメージと違うんだろうな…」と思うことは少なくありません。
先生が元いじめっ子だったりするケースも少なくない
決して先生が生徒をいじめるわけではありません。先生が元いじめっ子であることがありうる、ということです。現在、特に特別支援学校においては、体育大卒の先生が増えて、先生全体の体育会系化が進んでいるように感じます。それが「先生=元いじめっ子」と何の関係があるのか?…実は、体育会系の学校は超が付く縦社会で、いじめとも思えるくらいのシゴキが日常茶飯事なんです。先輩と会うのが嫌すぎて、トイレ、風呂共同の宿舎にて、部屋にこもってお風呂も、排泄すら台所で済ませていた、という思い出を語っていた先生もいるくらい…!そして、そう言った先生たちも先輩の立場になると、当然のようにシゴく立場に回ります。ですので、先生の体育会系化→体育会系大学卒→元いじめっ子と思うわけです。
ただ、「元いじめっ子=悪い教師」ではないと感じています。むしろ、体育会系の先生は優秀な方が多い、という印象です。まず、過酷な環境を生き残ってきた方々だけあって、体力、精神力ともにタフです。また、教員になられる体育会系の方は、その道の超一流だったりすることが多いです。
(例)元国体選手、元社会人チームでの競技経験者、元日本選抜などなど…
そういったところから生徒との関係性に良い意味で優位性を築きやすい面もあり、その面からも優秀であると感じます。
「ベテラン=すごい先生」ではない
普通の企業なら、「ベテラン=経験豊富」という構図が成り立つでしょう。ですが、教師には企業と違い、「成果で評価される」ということがないため、メンタルさえ強ければ、成果が最悪でも順調に生き残り、ベテランになれるというわけです。では役職がついてれば優秀か?そうとも言えません。これは地域によって違うんですが、「ある程度管理職が教師の力を見て役職を決める」、というまともな地域もあれば、「役職は投票で決める。そのため一緒に担任を組みたくない問題教師をあえて役職に推薦して、自分の近くに配置されることを避ける」、ということをしていた地域もあるくらいです。ですので、「ベテラン」「役職がある」はすごさの指標にはなりません。
教員の実態は、地域によって全然違う
先ほども少し触れましたが、学校の実態は地域によって全然違います。特別支援に熱心な地域、特別支援はプリントだけやらせて放っておく地域、真面目な教員が評価される地域、雰囲気だけで発言力の強いトンデモ教師が幅を利かせている地域、本当に様々です。ですので正直、先生の当たり外れより、地域の当たり外れの方が大きな問題であると感じています。
SNSに注意!「現役教員」を名乗るアカウントは注意が必要かも…
「現役教員」を名乗って某SNSでポストしているアカウントをよく見ます。こういうアカウントには注意が必要です。なぜなら、「現役教員を名乗る時点でリスクを背負っている」からです。教員がロクでもない発言をすれば、信用失墜行為にあたり、処罰されます。個人情報を漏らせば守秘義務の違反にあたり、これも処罰されます。これを理解しているアカウントなら問題ありませんが、現役教員アカウントでこれらに抵触しているアカウントは少なくありません。そういったアカウントは、情報リテラシーがまず低く、常識のないトンデモ教師であることが多いと感じます。ですので、「現役教員アカウント」の発言は話半分で聞き流すことをおすすめします。
教員に「ハズレはある」ので、その際の対応について考える
「ハズレ」の教員にあたってしまった場合の対応として、まず思いつくのが「教育委員会に伝える」ですね。多分ひと昔前は有効でした。今でも教育委員会から学校現場に指導が入ることはあるそうです。ですが、今は教員の成り手不足の時代。学校も教員を守らなくてはならない側面があります。問題が少々あっても、現場の人手がすでに不足している以上、いてもらわなくては困る、ということもあるでしょう。また、そもそも教育委員会も破綻している、という現実もあります。これも地域によりますが、地域によってはトンデモ教師ほど時間に余裕があって出世欲もあるので上に上がっていき、教育委員会に配属される、というところもあるくらいです。ただ、おそらく全国共通で言えることは、教育委員会は総じて激務です。その上現在の状況もありますので、学校現場へのクレームに対応している余裕は、おそらくあまりないかと思います。ですので、現在ではクレームを伝えるなら、教育委員会ではなく、地域の市議会や県議会議委員、何なら文科省HPへのクレーム投稿の方が、解決に近づけるかもしれません。
信頼できる先生は他にたくさんいる
最初にもお伝えしましたが、学校の先生は基本的には優秀な方が多いです。ですので、お子さんの担任や、トラブルの際の窓口になった先生にこだわらず、色んな先生に相談するのが良いかと思います。現在は学校はチームとして対応することが求められており、担任一人、担当一人で問題を解決することを重視していません。ですので、ご自身やお子さんに合う先生を探し、その人を頼る、ということは有効かと思います。(決して簡単なことではありませんが…)
学校と良い関係を築くには、学校のことをよく知れると良い

本来、このようなことをしなくても良いように学校組織が機能するのが理想ですが、いざという時に、学校という組織、チームを知っておくと話がスムーズになります。まず学校は「学年団」「校務分掌」といったチームで動いています。「学年団」 =「クラスの担任を中心とした、各学年を指導する担当教員の集団」、「校務分掌」=「進路指導、生徒指導、教務といった、学校組織の運営や生徒全体をサポートする役割」といった形です。また、教師の他にスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーといった他職種の専門家等も連携して生徒のサポートにあたっています。
学校が諸問題に対応する際には、まずは該当児童生徒の担任が対応にあたります。そこで解決が難しいケースにおいては、以下のような流れになります。このそれぞれの段階での支援について、管理職(副校長、校長)の指示を確認して動いていきます。

学校の動きを踏まえておくと、以下の利点があります。「担任の指導に不満をもっても、次の指導レベルに期待をすることができる」「どの時点でどこに相談を持っていけば良いかが理解できる」という点です。担任にも当たり外れ、相性があります。ですが、学校の動きを想像できれば、そこで不満を感じても絶望せず、次の指導レベルを待つことができます。また、担任の動きに不満をもって、即教育委員会に通報となると学校との連携は少しぎこちなくなりがちです。(学校組織を知らない保護者の立場からすると仕方ないと思います)担任で無理なら生徒指導担当等にも相談、といったように段階を踏めるととてもスムーズに支援がすすんでいくかと思います。
まとめ
担任の先生は本来、保護者に次ぐお子さんの最大の理解者の一人であるべきです。ですが、昨今の教師志望者数の減少や労働環境のブラック化など、様々な要因から教師のレベルも担保することが難しくなっており、「ハズレ」を引いてしまう可能性も否定できなくなってきてしまっています。ですが、先生は基本的には皆優秀です。少なくとも、学校全体が皆「ハズレ」なんてことはありません。状況に絶望せず、適切に対応すれば、学校内できちんとお子さんをサポートする体制は作れると思います。ぜひ、今回の記事が、そのための助けになれば、と思っています。
今日もお読みいただき、ありがとうございました。
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